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ヒート20とは?G1・G2・G3の違いからメリット・デメリット、断熱等級との関係まで徹底解説
- 公開日:2025/04/07
- 更新日:2025/04/07

HEAT20(ヒート20)
高性能な住宅が注目を集める中、「HEAT20(ヒート20)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。HEAT20とは、住宅の断熱性能に関する先進的な基準を示すもので、省エネ・健康・快適性を兼ね備えた暮らしを実現するための重要な指標です。この基準は、単に「暖かい家」を目指すだけではなく、将来のエネルギー政策や住環境の質の向上にも関係しており、これから家を建てる、またはリフォームを考えている方にとって必見の内容です。ここではHEAT20の定義、提唱団体、その目的や背景について詳しく解説していきます。
HEAT20とは?注目される理由と背景
HEAT20(ヒート20)とは、「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」が提唱する、次世代の断熱住宅の基準です。具体的には、住宅の外皮性能(断熱性能)を表すUA値を基に、快適性と省エネ性のバランスを評価する独自の基準を設けており、G1・G2・G3という3つのグレードに分類されています。
注目されている理由のひとつは、国の断熱等性能等級よりもさらに高いレベルの快適性と省エネ性を目指している点です。現代の日本においては、夏は猛暑、冬は厳寒という気候の中で、健康を損なわずに快適に暮らすための住宅性能が求められています。HEAT20は、こうした住環境の変化や、エネルギーコストの上昇、環境問題への意識の高まりを背景に、多くの設計者や住宅会社、そしてエンドユーザーから注目を集めています。
また、HEAT20は単なる性能の数値化にとどまらず、「どのようにすれば実際の住環境が快適になるか?」という視点を大切にしています。そのため、温熱環境のシミュレーションや実測データを用いた研究も進められており、実際の暮らしに即した基準づくりがなされています。
一般社団法人「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」とは
HEAT20の基準を提唱しているのは、「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」という団体です。この団体は、建築学、環境工学、住宅性能の分野において日本を代表する専門家や研究者が集まり、将来の住宅のあるべき姿を科学的に追求しています。
この研究会は、単に断熱性能の数値目標を掲げるのではなく、地域ごとの気候条件や生活スタイル、医療データなども踏まえて、住宅の温熱性能が人の健康や快適性にどう影響するかを詳細に分析しています。その成果がHEAT20のG1・G2・G3グレードに反映されており、気候変動やエネルギー問題に対する解決策としても注目されています。
また、住宅性能を向上させることが地域医療費の削減や高齢者の健康寿命延伸につながるという観点からも、行政や政策との連携も進められており、HEAT20は単なる住宅の性能指標にとどまらず、社会全体の課題解決に貢献する仕組みとして期待されています。
HEAT20と国の断熱等級の違いとは?
家づくりにおいて「断熱性能」は欠かせない要素ですが、現在の日本には複数の基準が存在し、それぞれが異なる目的や役割を持っています。特に混同されやすいのが、国が定める「断熱等性能等級(等級1~7)」と、民間団体が提唱する「HEAT20(G1〜G3)」です。両者は似て非なるものですが、どちらも高断熱住宅の普及を目指しており、家づくりの指針として重要です。
このセクションでは、断熱等性能等級6・7との関係性や、どちらを優先的に考えるべきかといった判断のポイントについて詳しく解説していきます。
断熱等性能等級6・7との関係性
断熱等性能等級は、住宅性能表示制度の一環として国土交通省が定めている制度で、2022年に「等級6」と「等級7」が新設されました。これにより、これまで最高だった「等級4」や「等級5」よりもさらに高い断熱性能を目指す枠組みが整いました。
一方、HEAT20は国の制度とは異なり、民間の研究会がより高い断熱・快適性を目指して設計した基準です。HEAT20のG1はおおよそ等級5に、G2は等級6〜7の中間程度、G3は等級7を上回る断熱性能に相当するイメージです。ただし、UA値(外皮平均熱貫流率)で見た数値上の対応だけではなく、「室温をどれだけ安定させられるか」「冬でも無暖房で最低何度を保てるか」など、実際の暮らしに基づいた評価軸を持っている点がHEAT20の大きな特徴です。
つまり、断熱等級は法的な基準であり、最低限クリアすべきライン。対してHEAT20は、より快適で健康的な暮らしを目指すための“推奨性能”と捉えるとよいでしょう。
HEAT20を選ぶべきケースとは
HEAT20を基準に住宅を設計するべきかどうかは、住む地域や家族構成、ライフスタイルによって変わります。
たとえば、北海道や東北、長野などの寒冷地では冬の気温が氷点下を下回ることも多く、断熱性能が低い住宅ではヒートショックや体調不良のリスクが高まります。こうした地域では、国の等級6や7を満たすだけでなく、HEAT20のG2〜G3レベルを目指すことで、より健康で快適な住環境を実現できます。
また、小さなお子様や高齢者がいる家庭では、室内温度のバリアフリー性が求められます。HEAT20の基準は、居室間の温度差や冷え込みを抑える設計思想があるため、ヒートショックのリスク軽減や安眠の確保といった健康面でも有利です。
さらに、光熱費の削減や将来的な資産価値を重視する方にもHEAT20はおすすめです。高断熱住宅は初期投資こそかかりますが、冷暖房費の削減効果やメンテナンス性に優れるため、長期的なライフサイクルコストで見ればコストパフォーマンスに優れています。
このように、HEAT20は「高性能住宅を建てたい」「家族の健康と快適さを最優先したい」「将来的な省エネとコスト削減も考えたい」といった方に特に向いている基準です。
HEAT20のG1・G2・G3グレードとは
HEAT20では、住宅の断熱性能を3つのグレードに分類しています。それが「G1」「G2」「G3」というランクです。これらのグレードは、単なる数値の比較ではなく、「快適で健康的な暮らしをどの程度実現できるか」という視点から設定されています。
このセクションでは、各グレードのUA値(外皮平均熱貫流率)をもとに、地域ごとの基準の違いや性能比較、そして実際にどのような住み心地の差があるのかについて詳しく解説していきます。
G1・G2・G3のUA値と性能比較(地域別の違い)
UA値とは、住宅の断熱性能を示す指標で、「数値が低いほど断熱性が高い」という特徴があります。HEAT20では、日本全国の地域区分(1〜8地域)ごとにG1〜G3の目標UA値が定められています。
例えば、東京などの6地域における各グレードの目安は以下の通りです:
- G1グレード:UA値 0.56以下
- G2グレード:UA値 0.46以下
- G3グレード:UA値 0.26以下
北海道の1・2地域ではさらに厳しい基準となり、G2であっても0.28以下、G3では0.20以下という非常に高性能な断熱が求められます。
これらの基準は、単にエネルギーを削減するだけでなく、「無暖房状態でも室温を13℃以上に保つことができる」など、居住者の健康や快適性を確保する目標から逆算されています。特にG2以上になると、冬季における室温の底上げが明確に実感できるレベルに到達します。
グレード別の快適性・健康効果の違い
HEAT20のグレードが上がることで、具体的にどのような生活の違いが生まれるのでしょうか?
G1グレードでは、断熱等級5程度の性能に相当し、従来の省エネ基準を上回る快適性を確保できます。例えば、冬場のトイレや廊下が極端に冷えることを防ぎ、家全体がある程度均一な温度に保たれます。
G2グレードになると、さらに室温のバリアフリー性が高まり、エアコン1台で家全体を効率的に暖めることも可能です。温度ムラが少ないため、ヒートショックのリスクも大幅に軽減され、特に高齢者や小さな子どもがいる家庭では大きな安心につながります。
G3グレードでは、ほぼ無暖房でも13〜15℃以上を維持できる断熱性を持ち、暖房費の大幅削減だけでなく、常時安定した快適な温熱環境を実現します。外気温が氷点下になる地域でも、室温が極端に下がることがなく、24時間快適な生活空間を保てるのが最大の魅力です。
このように、グレードが上がるごとに住まいの「質」が格段に向上します。建築コストとのバランスを考慮しつつ、自分たちの暮らしに合ったグレードを選ぶことが重要です。
HEAT20対応住宅のメリット
HEAT20に対応した住宅は、単なる高断熱・高気密を超えた「住まいの質」を追求するものです。見た目にはわかりづらいかもしれませんが、そこには日々の暮らしを変える快適性と、長期的な経済性・健康性という大きなメリットがあります。
このセクションでは、HEAT20対応住宅がもたらす具体的な利点について詳しく解説していきます。
室内温度の安定と快適性(夏涼しく冬暖かい)
HEAT20に準拠した住宅では、高い断熱性と気密性によって外気の影響を最小限に抑え、家全体の温度が安定します。夏場は外の熱気を遮断し、冷房効率を高めることで涼しさを長時間キープ。冬場は室内の暖かい空気を逃さず、少ない暖房エネルギーで快適な温熱環境が保たれます。
また、部屋ごとの温度差が少ないことも大きな特徴です。従来の住宅では、リビングは暖かいが廊下や洗面所が寒いといった現象が起こりますが、HEAT20仕様の住宅では家中がほぼ一定の温度に保たれるため、「寒い部屋がない家」が実現します。
この結果、1年を通して快適に過ごせる住宅になり、冷暖房に頼りすぎない持続可能な暮らしが可能になります。
ヒートショック予防と健康リスクの軽減
冬場におけるヒートショック(急激な温度変化による血圧の急上昇・急降下)は、高齢者の死亡原因の一つにもなっており、日本では交通事故死の数倍にのぼるとも言われています。HEAT20は、住宅内の温度差を少なくすることで、このヒートショックリスクを大幅に軽減します。
さらに、家全体が適温に保たれることで、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、関節痛などの慢性的な健康リスクの改善が報告されており、小さなお子さまや高齢者にとって安心・安全な住環境を提供できます。
快適なだけでなく、暮らす人の「健康寿命」を延ばす住まい。それがHEAT20住宅の真価です。
光熱費の削減と環境負荷の低減
高断熱・高気密なHEAT20住宅は冷暖房効率が格段に高いため、年間を通して光熱費が抑えられます。たとえば、G2〜G3グレードであれば、冬の暖房費を従来住宅の半分以下にできるケースもあります。
さらに、冷暖房エネルギーを削減することは、CO2排出量の削減にも直結します。環境意識が高まる今、家庭単位でできる地球温暖化対策として、HEAT20は非常に有効な選択肢です。
「経済的にお得」で「環境にもやさしい」暮らしを実現できるのは、HEAT20ならではのメリットです。
資産価値の向上と建物の長寿命化
住宅の性能は、今後の資産価値に大きく影響します。HEAT20に対応した住宅は、将来的な中古市場でも「高性能住宅」として評価されやすく、長期的な価値の保持や、場合によっては資産価値の上昇も見込めます。
また、断熱・気密性が高い住宅は建物内部の温湿度が安定しやすいため、構造体への結露や腐食といった劣化要因を抑えることができ、住宅の寿命が延びます。これはメンテナンス費用の削減にもつながり、結果としてトータルコストの削減にも貢献します。
「資産」としての住宅価値を維持しながら、長く快適に暮らせる。それもHEAT20の魅力のひとつです。
HEAT20住宅のデメリットと注意点
HEAT20住宅は多くのメリットを持つ一方で、注意すべき点や、事前に理解しておくべきデメリットも存在します。性能の高さゆえに、コストや設計・施工におけるリスクもあるため、これらを正しく理解した上で計画を進めることが重要です。
このセクションでは、HEAT20住宅の代表的なデメリットや注意点について、具体的に解説します。
建築コストが上がる可能性
HEAT20の基準を満たすためには、一般的な住宅と比べて高性能な断熱材や窓、換気設備などを導入する必要があります。それに伴い、初期建築コストが上昇するケースが多いのが実情です。
例えば、G2・G3グレードの住宅では、断熱材の厚みを通常の1.5倍〜2倍にしたり、トリプルガラスの高断熱サッシを採用したりすることもあります。これにより、数十万円〜百万円単位でコストが上がることも珍しくありません。
ただし、こうした初期投資は、ランニングコストの削減(光熱費の節約)や健康面でのメリットを加味すれば、長期的には回収できるケースが多くあります。導入前に「生涯コスト」の視点で比較検討することが大切です。
地域によっては「過剰断熱」になるリスク
HEAT20は全国に共通のグレード基準を設けていますが、実際の気候条件は地域によって大きく異なります。温暖な地域でG3グレードのような非常に高断熱な仕様を採用すると、かえって過剰な断熱となり、コストに見合わないケースもあります。
たとえば、関東以西の温暖な地域では、G1やG2で十分な快適性が得られることが多く、G3まで求めると建築費が無駄に高くなりがちです。また、日射取得と遮蔽のバランスを考えないと、夏場に室内温度が上がりすぎるといった逆効果にもつながりかねません。
断熱は「高ければ高いほど良い」というわけではなく、地域の気候特性や住まい方に応じて、適切な性能バランスを選ぶことが重要です。
工務店やハウスメーカーの選定ミスに注意
HEAT20対応住宅は、設計段階から高い断熱性能と気密性能を想定した計画が必要です。そのため、断熱・気密に対する深い知識と、確かな施工技術を持つ工務店・ハウスメーカーを選ばないと、期待した性能が発揮されないリスクがあります。
たとえば、断熱材の隙間施工や気密処理の不備によって、計算上はG2グレードでも実際はそれ以下の性能しか得られなかった、という事例もあります。C値(相当隙間面積)やUA値の実測を行い、数値を公開している会社を選ぶと安心です。
また、HEAT20に精通した建築士が在籍しているか、過去にどの程度の実績があるかなども、選定時の重要なチェックポイントとなります。
HEAT20の住宅を建てるためのポイント
HEAT20基準に適合した住宅を建てるには、ただ高性能な建材を使うだけでなく、設計・施工・設備選びの全てで高いレベルの知識と判断が求められます。また、性能だけでなく、コストとのバランスや施工会社の選定も重要です。
このセクションでは、HEAT20住宅を成功させるために押さえておくべき具体的なポイントをご紹介します。
おすすめの断熱材・窓・換気システム
HEAT20基準を満たすには、断熱性能と気密性能を高めるための資材選びが肝心です。以下に、主に用いられる設備とその特徴を紹介します。
- 断熱材:セルロースファイバー、フェノールフォーム、真空断熱材などが高性能素材として挙げられます。施工性とコストのバランスを取るなら、高性能グラスウールや吹付硬質ウレタンフォームも人気です。
- 窓:熱損失の大きい開口部は、トリプルガラス+樹脂フレームのサッシが基本となります。国内メーカーではYKK APの「APW 430」、LIXILの「エルスターX」などがG2・G3グレード対応に適しています。
- 換気システム:第一種熱交換換気システム(例:ローヤル電機の「ロスナイ」、マーベックスの「澄家」など)を導入することで、冬場の換気による熱損失を抑えつつ、きれいな空気を室内に保てます。
こうした設備を適切に選び、断熱・気密・換気のバランスを取ることで、HEAT20の本来の性能を発揮する家が実現します。
信頼できる施工会社の選び方
HEAT20住宅では、設計段階から施工精度までトータルで性能が左右されるため、信頼できる施工会社の選定は非常に重要です。
以下の点をチェックポイントにするとよいでしょう:
- HEAT20住宅の施工実績があるか
実際にG1・G2・G3のグレードで施工した実績がある会社は、知識とノウハウが豊富です。 - UA値・C値の実測値を開示しているか
施工後に性能を測定し、結果を開示する姿勢がある会社は信用できます。特にC値が1.0以下(理想は0.5以下)を目指すのが望ましいです。 - 自社大工による施工かどうか
外注任せでなく、技術力を持った自社スタッフが施工に携わる会社の方が品質管理が徹底されています。
加えて、モデルハウスや見学会で実際の室温や施工精度を体験できるかどうかも、判断材料として有効です。
初期費用とランニングコストのバランスを考える
HEAT20仕様の住宅は、確かに初期費用は高くなる傾向がありますが、その分、光熱費の削減や健康面でのメリット、さらには建物寿命の延長といった長期的な恩恵があります。
そのため、家づくりの際には「初期費用」だけでなく「30年・50年というスパンでのトータルコスト」で比較することが重要です。
たとえば:
- 初期費用:プラス100万円
- 年間光熱費削減:10万円 → 10年で回収
- 健康リスク軽減や通院費減少 → 見えにくいが大きな節約
また、国や自治体の補助金を上手に活用すれば、実質的な初期コストを抑えることも可能です。性能とコストのバランスを見極め、自分たちのライフスタイルに最適な仕様を選びましょう。
HEAT20の施工事例と住み心地の実態
HEAT20基準をクリアした住宅は、設計図や理論上の数値だけでなく、「実際に暮らしてどうか」がとても重要です。建築後の住み心地、室温の安定性、光熱費の実態などを確認することで、HEAT20住宅の価値をより具体的に理解できます。
このセクションでは、入居者の声や公開されている実例をもとに、HEAT20住宅の実態に迫ります。
実際の入居者の声と満足度アンケート
多くのHEAT20対応住宅に住む人々からは、「冬でも家全体が暖かい」「エアコン1台で快適に過ごせる」といった声が聞かれます。
たとえば、G2グレードの住宅に住む家庭のアンケートでは、以下のような実感が共有されています。
- 冬の朝でも起床時の室温が18℃以上を維持
「布団から出るのがつらくない」「トイレや脱衣所も寒くない」と好評です。 - エアコンの使用頻度が減ったことで電気代が月5,000円以上削減
特にオール電化住宅では、深夜電力との組み合わせで高い省エネ効果を得ている家庭もあります。 - 健康面の変化
「風邪をひきにくくなった」「子どものぜんそく症状が軽減した」など、体調の安定を実感する声も多く、健康改善との関連性も注目されています。
公開されている実例(UA値など)をチェック
HEAT20住宅を建てた実例は、各ハウスメーカーや地域の工務店のホームページ、建築系ポータルサイトなどで公開されています。これらの実例を見ることで、自分たちの地域やライフスタイルに合った住宅のイメージが具体化しやすくなります。
たとえば:
- 北海道(6地域)/G3グレード
- UA値:0.23W/㎡・K
- C値:0.3㎠/㎡
- 冬季の室温:平均21℃前後(エアコン1台稼働)
- 愛知県(5地域)/G2グレード
- UA値:0.42W/㎡・K
- 年間光熱費:約10万円
- 室温は1階・2階ともに安定して18〜23℃前後
- 関東(5地域)/G1グレード
- UA値:0.52W/㎡・K
- 電気代:一般住宅より年間6万円以上削減
- エアコンの稼働時間は夏冬ともに短縮
実例を見る際は、「地域」「グレード」「UA値・C値」「暖冷房機器の内容」「実際の暮らし方」などを比較すると、自分に合った断熱グレードのヒントになります。
HEAT20に関する補助金・税制優遇制度
HEAT20基準に対応した住宅は、性能の高さだけでなく、国や自治体が実施している補助金や税制優遇制度の対象になるケースも多く、初期費用を抑えながら高性能住宅を実現できるチャンスがあります。
このセクションでは、代表的な支援制度とHEAT20との関連性をわかりやすく解説します。
こどもエコすまい支援事業との関係
「こどもエコすまい支援事業」は、子育て世帯や若者夫婦世帯が高性能な省エネ住宅を新築する際に支援金を受けられる制度で、HEAT20グレードに対応した住宅はその主な対象となります。
- 支援金額:最大100万円/戸
- 対象条件:ZEHレベル(UA値0.6以下かつ一次エネルギー消費量20%削減)
- 対象世帯:子育て世帯(18歳未満の子を持つ)または若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下)
HEAT20のG2またはG3グレードを満たす住宅は、上記の要件をクリアしやすく、補助金の対象となる可能性が非常に高いです。断熱性能と省エネ性能の両面で優れた住宅であることが制度の条件に合致しています。
この制度を利用することで、初期費用の一部を補えるため、若年層のHEAT20住宅取得を後押しする要素になります。
長期優良住宅やZEHとの併用メリット
HEAT20の住宅は、「長期優良住宅」や「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」と非常に相性が良く、それぞれの制度を併用することで、さらなる支援や税制優遇が受けられます。
- 長期優良住宅との関係
長期優良住宅の認定を受けることで、住宅ローン控除の拡充、不動産取得税・登録免許税の軽減、固定資産税の減額といった税制優遇があります。HEAT20の断熱性能は、長期優良住宅の「断熱性能等級5以上」の条件を容易に満たします。 - ZEHとの併用
HEAT20 G2やG3の住宅は、ZEHの性能要件(UA値・一次エネルギー削減率)をクリアしやすいため、ZEH補助金(55〜100万円)との併用も現実的です。 - 補助金の合算可能性
「こどもエコすまい支援事業」と「ZEH補助金」は原則併用不可ですが、長期優良住宅としての優遇制度は、他の支援制度と併用可能な場合が多く、設計段階からの計画が重要です。
これらを効果的に組み合わせることで、HEAT20の高性能住宅をより現実的な価格で手に入れることが可能になります。
HEAT20は誰に必要?向いている人の特徴
HEAT20に対応した住宅は非常に高性能ですが、その分、建築コストや仕様の選定にも注意が必要です。すべての人に必要というわけではなく、ライフスタイルや住む地域によって「向いている人・向いていない人」が明確に分かれます。
このセクションでは、HEAT20住宅が特におすすめな人の特徴を紹介します。
寒冷地に住む方や冷えに敏感な方におすすめ
冬の寒さが厳しい地域(北海道、東北、北陸など)に住む方にとって、HEAT20は非常に大きなメリットをもたらします。特にG2やG3グレードの住宅は、外気温が氷点下になる地域でも室温を20℃前後に安定させる力があります。
また、冷え性や高齢者、小さなお子様がいる家庭では、室温のバリアフリー化が健康リスクの軽減につながります。トイレや脱衣所、廊下なども寒くならず、ヒートショックのリスクを大幅に軽減できるため、安心して暮らせます。
HEAT20は単なる「快適性の向上」にとどまらず、「健康寿命を伸ばす住宅」としても注目されています。
長期的なコストパフォーマンスを重視したい人へ
初期費用は多少高くても、長い目で見て家計を楽にしたい人にとって、HEAT20は非常に相性の良い選択肢です。
断熱性能が高い家は、冷暖房にかかるエネルギーを大幅にカットできます。特に光熱費は年間で数万円単位の差が出るため、10年・20年と住むうちに初期投資以上のリターンを得ることが可能です。
さらに、性能の高い家は建物の劣化も抑えられ、メンテナンス費用の抑制にもつながります。資産価値が下がりにくく、将来的に売却・賃貸を検討する場合にも有利です。
将来を見据えて「トータルコストで得をしたい」という方には、HEAT20の家づくりは非常におすすめです。
よくある質問
HEAT20について多くの方が疑問に思う点を、よくある質問形式でまとめました。このセクションでは、HEAT20に関する一般的な質問とその回答をご紹介します。
「HEAT20」とはどういう意味ですか?
HEAT20(ヒート20)とは、一般社団法人「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」が提案する、住宅の断熱性能を示す基準です。具体的には、**住宅のUA値(外皮平均熱貫流率)**を基に、住宅の熱の逃げやすさを評価します。HEAT20は、単に高断熱だけでなく、省エネ性能や快適性、健康への配慮も含まれた住宅基準を提供します。
HEAT20は、G1、G2、G3という3つのグレードに分かれており、それぞれが要求される断熱性能を満たしています。
断熱等級とHEAT20の違いは?
断熱等級とは、国が定めた基準に基づいて、住宅の断熱性能を等級ごとに評価したものです。一方、HEAT20は民間団体が定めた独自の基準で、より高い断熱性能を要求します。
具体的に言うと、断熱等級6や7(現在の基準)と比較して、HEAT20はさらに高い性能を求めるため、住宅の暖房・冷房効率が大幅に向上します。特にHEAT20のG2・G3グレードは、断熱等級7よりも高い断熱性能を提供します。
住宅におけるHEAT20とは?
HEAT20とは、住宅の断熱性能を示す基準であり、特に快適性や健康への配慮を重視した住宅作りを目指すものです。HEAT20基準に対応した住宅は、暖房効率が高く、室内温度が安定しているため、冬でも暖かく、夏でも涼しいという特徴があります。
この基準は、省エネ性能だけでなく、光熱費の削減やヒートショックの予防、健康リスクの軽減といった点でも非常に有効です。
ヒート20G2のC値はいくつですか?
HEAT20 G2グレードの**C値(隙間相当面積)**は、0.5㎠/㎡以下を要求しています。この値は、住宅の気密性能の高さを示しており、隙間風の侵入を最小限に抑え、断熱性能を最大限に活かすための重要な指標です。C値が低いほど、熱のロスが少なく、エネルギー効率が良くなります。
G1・G2・G3のどれを選べば良い?
G1、G2、G3の選択は、主に住む地域の気候や予算に依存します。一般的に、寒冷地や高温多湿な地域では、G2またはG3が推奨されます。特に、冷暖房の効率や快適性を重視する場合、G2やG3が最適です。
G1はコストを抑えつつも一定の断熱性能を確保したい場合に選ばれることが多いですが、極端な気候条件や高い快適性を求める場合は、G2またはG3が適しています。
どの地域でHEAT20の性能が必要になる?
HEAT20の高断熱性能は、特に寒冷地に住む人々にとって必須と言えます。特に北海道、東北地方、北陸地方など、冬の寒さが厳しい地域では、HEAT20のG2やG3グレードを選ぶことで、快適に過ごすことができ、省エネ効果も高いです。
また、**高温多湿な地域(関東や関西など)**でも、室内温度の安定性を求める家庭にとっては、HEAT20のグレードアップが役立ちます。快適な室内環境を長期間維持できるため、HEAT20は日本全域で適用可能な性能基準です。